向上心を持ち続けることの難しさ

僕の友人は積極的に交流活動を行っている。
主に利用しているのはFacebookなどのソーシャルツール。
Facebook勉強会だとか異業種交流会、各種セミナーなどに参加し、
知識をつけるだけじゃなく、いわゆる人脈作りにも励んでいる。


特徴的なのは、その友人が"20代の女性"ということだ。
例えば僕のようなIT系の業種、
特にソフトウェアに携わる者であれば、
勉強会なんてものは出席するのは当然である人も多いし、
技術的なことを学ぶことに楽しみを見出していることも少なくない。
そこに老若男女は関係ない。(傾向として20〜30代男性が多いか。)


だから、同じ業種同士で研鑽しあうことは普通だと思っていた。
ところが、いざIT系以外の業種に目を向けてみるとそうでもない。
たとえば事務職はどうだろう。
事務職が勉強会なんて聞いたことがないし想像もつかない。
(先生と生徒がいる、いわゆる学校的なもの以外は。)
大抵の業種はそうなのだ。


意識が高い人だったり、積極的に何かに取り組んでいる人だけが
幅広い知識を得るため、価値観を得るためにみんなと交流を深めていく。
そういう場にいる人間というのは得てして、
素晴らしい人格が出来上がっていて、ということは大人なのだ。
男性でも30代以上、女性では40代以上のバリバリのビジネスマン。
その中に若くして一人飛び込んでいくというのは、勇気がいることだろう。
だから僕は友人を尊敬している。


友人は目標があるからそういう風にできるのだ。
目標があるから、それに向かって向上していこうという気概と努力がある。
本当に素晴らしいことだし、輝いて見える。
さぞみんなから尊敬の眼差しを受けていると思った。


しかし、一つ悩みがあるらしい。
”孤独だ”と感じると。
どうやら他の同世代の友人と話が合わないという。
「自分はある夢を持っているから、こういう活動をしている」
「今はこういう考えをもっていて、次はこういう取り組みをしたい」
「非常に合理的なビジネスモデルを知ったんだけど・・・」
など自分が考えている事の具体的な話ができない。
それどころか、そういう社会的な活動をしていることを言うと、
尊敬が羨望にまで発展してしまい「自慢しているのか」と勘違いをされる。


そして、前述したように交流会などに参加する年齢層は高く、
そこでも同世代として、同じレベルとしての話ができないのだという。
そこに参加している人たちは、いろいろなことを経験している年齢、人間であり、
対等な話し合いはできない。
アドバイスを受けるにとどまってしまうのだ。
踏んだ場数が違うのだから、仕方ないだろうが、
この構図は親と子、師と弟子のような関係であり、
仲間と思える親近感を感じることができないのだ。


だから孤独なのだ。


僕も掲げている目標はあるし、それに向けて尽力している。
だから交流会などに参加している彼女の多角的価値観は、
非常に参考になるし、同じような目線でいろいろな話し合いができた。
どうやらそれが、新鮮だったらしい。


僕はITという業界に進んできて本当に良かったと思う。
”孤独だ”なんて一度も思った事がない。
同じようにプログラミングやネットワーキングを愛している人は、
どこにでもいるし、酒を飲んでいてもどうしてもそういう話に発展する。
そしてその技術は移り変わりが早いから、
常に勉強して追いつかないといけない。
最初、勉強しつづけることに辛いかもしれないという疑念を感じたが、
今となっては心地よい。
周りを巻き込んで一緒に向上していける。


向上心を持ち続けることは難しいのだ。
周りがそうでなければそのうち流されてしまう。
しかしこの業界はそうではない。
自分が好きな事の延長線上に仕事があって、
それでお金を稼いで飯が食えて、
向上しつづけていくこともできる。
これだけ恵まれていることは、なかなかない。
幸せだ。


この業界と、みんなに感謝している。